後藤 愼平の手掛ける"MASU(エム エー エス ユー)"FW24 2ndデリバリーが発売開始。パリで初となるランウェイを開催し、一層世界から注目を集めるきっかけとなったコレクション"falling rain said yes to the boy"。
肉厚なゴートレザーを使用し数種類のチェーンを組み合わせて蜘蛛の巣をイメージした装飾を付けたレザージャケットやブランドのアイコンである天使を刺繍で落とし込みブランドのアイデンティティを潜ませたカーディガンなどが登場。
デニムシリーズ『MASU BOYS』からはレーザーブリーチによって天使の羽根が舞い散るグラフィックを採用。ヴィンテージの要素を踏襲しながらブランドのオリジナリティを組み込んだジャケット、ベルボトム、バギーシルエットのデニムをご用意。
コラボレーションからは、グラフィックアーティスト"VERDY"とのプロダクトを展開。同氏が描き下ろした"逆さに飛ぶ風船""MASU BOYS""NEVER LAND""SWEET DREAMS"のグラフィックをジャガード織りによって立体的に表現したベストや前シーズンにもリリースされた"SUBU"とのコラボレーションサンダルもラインナップ。
MASU FW24 2nd
- 日付
- 8月31日(土)
- 時間
- 11時 NUBIAN HARAJUKU
- 日付
- 9月2日(月)
- 時間
- 12時 ONLINE STORE
FALL WINTER 2024 COLLECTION
falling rain said yes to the boy
- MASUは、常に、社会や人々に内在する先人観を眼差してきました。 時代の超勢や、ジェネレーションの転換、生活感覚の変化によって移り変わる意識に、デザイナーの後藤氏は、あたたかく、軽やかな視点を向け続けています。たとえば、後藤氏は、こうもりの羽ばたきに天使の姿をみることがあるし、食べ残されたケーキに宿るユニークな美を見出します。 彼のステイトメントは、「口には出さない本音」をコレクションに浸透させることで果たされます。 「雨上がりの日の蜘蛛の巣に水滴がついて、光を受けてキラキラしていることを「可愛い』や「綺麗」だと感じて胸を打たれたとしても、多くの人はそれを隣に歩く恋人には話さないでしょう」と後藤は喩えて、皆が孤独に秘めているであろう特別ではない感覚に関心が向かっていると語ります。 「もしかしたら子どもはその本音を口に出すでしょう。僕も言ってしまうけどね」と笑って続けました。 これまでよりも内間的な空気感を抱いた2024年秋冬は、共感がもたらす開放的で軽妙なストーリーで構成されています。 明快な外見と繊細さを秘めたコレクションには、鋭さと丸みが共存するこうもりのシェイプやカッティングを発見することができるでしょう。クラシックなチェスターフィールドコートの襟や首元から、撥水素材のロングレインコートやチャップスのヘムライン、スーツ地でクラッシュヘムが特徴のつけ襟型フードとダブルフェイス・スポーツジャケットのフード、あるいは、レザーベストの輪郭まで。傷や痛みもメタファーのひとつでしょう。キバのように切り抜かれたキャップのホールはラインストーンで装飾され、包帯をイメージされたサテン地のダウンジャケット、ジャケットに空いた傷口をふさぐ瘡蓋のようにスタッズがあり、ダメージを受けたトーシュースにはラインストーンが添えられています。 さらに「孤独」と「美しさ」が反目しないことを伝えるシグナルは、静かで例的なシーンを想起させます。例えば、雨の下や雨にうたれた染みは、ダブルフェイスのコートの肩のスタッズ、レザージャケットにレーザーカットで開けた無数の穴とリンクし、 スウェット地のロングスカートには地面の雨が染み込んで見えるかもしれません。蜘蛛の巣が肩にかかったような様はエレガントなチェーンで表現され、朝日に光る蜘蛛の巣のグラフィックはフロッキーやインクジェットでプリントされています。逆さに飛ぶ風船のグラフィックはVERDYによって描かれ、スタジャンやトラッドなツイード地のジャケットにアタッチされた同じ布地のいくつものワッペンは「見えにくくとも確かで静かな主張」の記号として機能しています。 シンボル的なレザーのケーキバッグは未来の幸福を閉じ込めた宝箱でもあります。そして、ダークなカラートーンの中で活きる大胆な“kirakira”は、MASUのアイデンティティをあるがままに表しています。 ランウェイには、後藤氏が思い描く“ダークヒーロー”がそぞろ歩きます。彼らは、脱力でも知力でもなく、思いやりと優しい眼差しこそを武器としているのです。 コレクションは、日本的感覚によるヴィンテージへの多的なアプローチに富んでいるが、「暗さ、汚さ、悲しさのイメージが偏見的にもたらされる様々なものを見つめ直し、日常に浸透しすぎて忘れられたものを思い出させる」という、人々との新しい共感をもたらすエッセンシャルな「肯定」への挑戦でもあります。 雨だけど可愛い。寂しいけれど美しい。矛盾しそうなものを、逆説的に肯定しているのです。