POP-UPを開催するなど、NUBIANと親交の深いブランドやデザイナーのバックボーンやこれからを紐解くスペシャルインタビュー企画。
第三弾は、"MEMBERS OF THE RAGE"のデザイナーで
ラッパーKid Cudiとしても知られる
Scott Ramon Mescudi (スコット ラモーン メスカディ)が登場。
ー 今回のコレクションについて、またなぜこのユニークなカラーの組み合わせを選んだのか教えてください。
僕なりの自由な表現として、最初のコレクションということもあって良いと思うことを何でも取り入れたんだ。色々やってみることで何がしっくりくるかを知ることができるしね。
確立したかったことの一つ、色の組み合わせとシルエットで遊ぶことかな。例えばバーシティジャケットやカーディガンはよくあるものだけどそこに、袖は赤でボディはターコイズというアクセントになるようなディテールを入れているんだ。
ー ブランド名の“Members of the Rage”はスコットあなた自身のことだと認識しています。どのように自身をイメージして名前に込めたのですか?
これは僕の頭の中にずっとあった名前で、本当はこのタイトルの映画を作ることを考えていたんだ。 その映画はエイリアンの集団が集まって、自由のためにアクションを起こす話でこれは僕の言いたいことを形にしてるんだ。 僕が言う"The Rage"になることは"自由になること"で このメッセージを僕は皆に届けたいんだ。 Member of the Rageは(略して)MOTR"モーター"とも言えるから、良い名前だと確信したね!
ー ファッションブランドを立ち上げることを決めた時、最初に考えたアイデアは何ですか?それはずっとチャレンジしたいと思っていたことですか?それともパッと思い浮かんだものですか?
一番初めにブランドをはじめたのは2016年だったんだけど、サンプルを何枚か作ったりを繰り返し、数年かかったけどいつもこのビジョンは頭の中にあったんだ。大きなイメージで本当に僕がやりたいアプローチは何かをいつも考えてた。そこに感情を追加していって形になっていった感じかな。
ー NIGO氏とコラボをしてデザインしたロゴは2人の間でどのように形にしていきましたか?
最初から僕には明確なアイデアがあったんだ。僕の考えていたロゴのイメージはブランドのアイコンになるもので、色々なところに使うことができて、見るだけでブランドを認識できる存在感のあるものだった。
そして、モノクロにもカラーにもできるものでもあること。そんな時にどこかのSNSでUFOの画像を見かけたんだ。ダラスの砂漠かなにかに、エイリアンの拉致に対する警告サインのようなものがあって、それを見た瞬間NIGOにイメージを送って、これだ!って言ったんだ。その後、何度かやりとりをしてライトを両サイドに足したり詳細を加えて完成させたよ。
ー NIGO氏のことはいつから知っていますか?
僕のキャリアが始まってからだから、もうNIGOとは長い付き合いだね。本当にこうやって一緒に働けることは幸せなことだよ。彼の才能、そして彼の大きなサポートは僕にとっては大きなもので、本当に感動しているよ。例えば今日来てくれているNIGOと仕事をしている友人なども含め、東京に来るたびにたくさんのLOVEを感じるんだ。それはNIGOから得るものが本当に大きいね。
ー NYのBAPEストアで働いたと聞いたことがあります。なぜBAPEストアを選んだんですか?それはファッションのはじめての仕事でしたか?
BAPEは初めての仕事ではなくて、僕がNYでしたたくさんの仕事の一つだったよ。僕がNYに引っ越したのが2004年で、NYで初のBAPEストアがオープンしたのが2005年だった。(BAPEのオープン後は)3年間、毎年1-2回は履歴書を送り続けたんだ。僕にとって、この仕事は究極なものだったからね。もしこの仕事につけたら、もう問題はなにもない。もうそれでいいというか、あの時はそれがゴールだったね。
ー 何歳の時でしたか?
23歳だったかな。面白い話は、その頃、BAPEストアで着るための洋服を買うこともできないほどお金がなかったんだ。やっぱりお店で働くからにはBAPEの洋服を着なければならないのに、僕はユニフォームとしてギフトでもらった一枚しか持っていなくて、二週間ぐらい同じ服を着ていたよ。初めてのお給料をもらって直ぐにBAPEの洋服を買ったね。後はそこで一緒に働いていた友人に洋服を借りたりもしたな。でも本当にあれは最高な仕事だったよ。その後、(夢に向けてチャンスが来たため)辞めなければならなくなったことが本当に残念だけど、僕がNYに来た理由は、夢を追求することで、楽しい雰囲気に落ち着くためではなかったので仕方がなかったと思ってるよ。NYではベストを尽くしたね。
ー 世界的にリスペクトされるアーティストになると、プレッシャーやストレスもたくさんあると思います。どうやってエネルギーとクリエイティブな思想を保っているのですか?
僕がいつも考えていることの一つとして、世界のたくさんの人が僕と同じことをすることができるということをしっかり認識した上で、夢を追いかけ続け、それを現実にするということかな。それができていることは本当に特別なことで、後悔はしないんだ。いつも夢を追いかけ続け、やってみること、ベストセラーを出して、そして何年後の今もここにいることもその繋がりなようにね。人生の新しいチャプターに挑戦してみたり、デザイナーとして、そして映画やTVショーを書いてみたり、空に向かってどこまで高く行けるかを終わりまで試すことだよ。
ー 終わりはありますか?
そうだね、リアルなアートには終わりはないね。
ー 今までもあなたの在り方を表現することでファンに深くインスピレーションを与えています。 中でも、Kid Cudiが命を救ってくれたというファンからのコメントをたくさん見てきました。 それについてどう思いますか?
またコレクションを通じてどのようにメッセージを発信し続けたいと考えていますか?
これは本当に嬉しいことで、僕の音楽を聴いてくれる人が、そう思ってくれることが音楽を優先にやってきたことの理由でもあるんだ。
コレクションの中にも、僕の芯にあるフリーダムの心は大事にしているから、周りのファンたちにも自由になっていいんだということを伝えたい。自分のことを好きになってほしいんだ。もし自分のことが好きではなく、病んでいる心だったら、僕はこんなにビビッドカラーのコレクションは作れなかったと思うよ。
僕が何かをうまくやれることができれば、それが人々のインスピレーションになると信じているから、特に大きなことをするわけではなく、僕らしく生き続けることだよ。
特にファッションの話しをするわけでもなく、僕の人生を貫き、達成して、インスパイアする、それが幸せで輝くことだと思ってる。
これが僕からヤングキッズへのメッセージかな。
ー ミュージシャン、アクター、ファッションデザイナーとして幅広い才能で活躍されていますが、今一番フォーカスしていることは何ですか?
ファッションかな。ミュージックとアクターはそれなりにやってきたからね。でもファッションブランドはまだ始めたばかりで、時間をかける必要がある。本当は3つとも同じように分けていきたいと思っているけど、実際、今の頭の中では、ブランドへの焦点が大きいかな。ファッションは眠る暇もないぐらい24時間止まることのない世界だからね。僕はクリエイティブな時間が好きだから、たくさんの時間を費やせているよ。
ー Virgil AblohにMOTRについて話しましたか?彼は何と言っていましたか?
僕がファッションブランドをやるアイデアを考えた時に一番最初に話したのはVirgilだったよ。 Virgilは100%のサポートをしてくれた。それが僕が前に進む自信になったんだ。追求するべきポイントや、重要なことを教えてくれて、ロゴの作成に知っておくべきこと、NIGOとのコラボのことなど、このサポートがあったことは何も知らない僕にとって大きかった。 "Hey man, ブランドやりたいんだよね"ってある日、Virgilに言ったんだ。僕は今まで誰にもブランドのことを話していなくて、2016年からブランドをやりたいと考えていたことは秘密にしていたんだ。 でも、Virgilのサポートと彼の"YES!(今までもデザイナーとして)やっててもおかしくないレベルだよ。"と言ってくれた反応が僕に自信を与えてくれた。ブランドを始めた時、僕は少し緊張していたことを覚えているけど、でも僕はよくVirgilのことを考えていたよ。彼がくれた言葉がいつも後押ししてくれたんだ。
ー もしVirgilがまだいたら、最初のコレクションを発表した今、何を伝えたいですか?
なんて言うかな、、彼がコレクションをどう思ったかを聞くかな。
誇りに思ってくれているか。もし彼が誇りに思ってくれていたら嬉しいよ。
ー 物をつくっている過程でもVirgilのことを考えましたか?
考えなかったことことはないよ。洋服を作る時、彼はいつも僕の頭の中にいるんだ。洋服を作っている時だけではなく、いつも考えてるよ。
本当に大事な存在だよ。彼はいつも僕の前にいるんだ。
ー Virgilのディレクションのやり方からインスパイアを受けていますか?
もちろんだよ。彼がどうやって二つのブランドを同時にマネージメントしていたのか、3年でOff-Whiteをリスペクトしなければならないブランドにつくりあげたこと、彼はハードルをどんどん上げていって誰も疑うことのできない地位やレベルを確立したんだから。多くの人がアートに真摯に取り組まずその世界から去ってしまう。でもその後、ダメージを残されたアートの世界は修正することができないんだ。Virgilは本当に大きなインパクトをもっているよ。Virgilや早くに亡くなってしまった素晴らしいミュージシャン達のようにパワーを持っている人は直ぐにわかるものだよ。だから、Virgil は永遠なんだ。僕の心の中、頭の中に永遠にいるんだ。
ー ファッションデザイナーとして新たなチャプターへ進んだ今、目標は何ですか? 5年後、MOTRはどんなブランドにしたいですか?
MOTRを5年後にはトップブランドにしたいな。こうやってお店でコレクションが並んでいるのを見るとエキサイティングだし、みんなも気に入ってくれているしね。楽しみだよ。
ー ファッション、そして人生においてインスピレーションを受けるものは何ですか?
ポップカルチャー、映画、TVショー、もちろん音楽、カートゥーンなど色々なところから常にインスピレーションを受けてるよ。そういうインスピレーションを少しずつミックスして、自分のオリジナルを作り出しているんだ。
ー 今、日本でのローンチイベントをすることに緊張していますか?
緊張はしていないよ。むしろ自信があるよ。ブランドがどう動いていくのか、着ている姿を見るのが楽しみだよ。最高な気分だね。外を歩いている時に、もし誰かが(僕のブランドを)着ていたとしたら、最高に上がるね。もし僕のブランドを着ている人がいたら、"ヘーイ!それ俺のブランドのアイテムだよ!"って声を掛けたいね(笑)
ー 今日はあなたにとって最良の日ですか?今幸せですか?
うん、幸せだよ。なんせ今東京にいるしね。東京のような素晴らしい場所では悲しくなることはないよ。本当に僕は今幸せな状況にいると思ってるよ。色々な良いことが周りで起きているし、家族も元気だし、娘と母とも過ごす時間も取れている。とても幸せを感じてるよ。
ー 最後に日本のファンのみんなにメッセージをお願いします。